2010年10月17日日曜日

KNOPPIXの思い出

こんばんは、こすげです
須崎さんが「日本OSS貢献者賞」を受賞し、うちの卒業生の塚田君が「2010年度日本OSS奨励賞」を受賞したので、まあ、なんというか私とKNOPPIXとの出会いと思い出をまとめておこうと思います。

KNOPPIXのことを始めて知ったのは、がんばれ!!ゲイツ君というWebページででした。当時、僕はうちの学校で「コンピュータネットワーク研究科」という学科の責任者をしていて、学科の主要OSとしてLinuxを使っていたのですが、学生がなかなか自宅のパソコンでLinuxをインストールしてくれないことに悩んでいたんですね。どんなに学生に対してサポートをしてもおよそ3割の学生しか、自宅の環境にLinuxをインストールしてくれない。それを何とかしたいと思っていました。
そんなときに、がんばれ!!ゲイツ君に掲載されていたKNOPPIXに飛びついたわけですが、それは2003年初秋のことだったと思います。ちょうど直後に、新宿NSビルで「Linux World」が開催され、そこに出展していた須崎さんと始めてお会いしました。
そのときに、今でも使っていますが、algolAlpha という教育用インタープリタで、「関西オープンソース・フリーソフト」というイベントに出店する予定でしたので、そのことを須崎さんに伝え、大阪で須崎さんとKNOPPIXのBOFに参加することになりました。そのBOFで、拓殖大学の佐々木先生や、Alpha Systems の千葉さんとも知りありになり、私のKNOPPIXライフが開始されることになったのです。
翌年の3月、慶応大学湘南校舎で開催された情報処理学会で東北学院大学の志子田先生とも知り合いになり、私のKNOPPIX人脈はできあがったのですが、そのときに特筆すべきことは、「USB-KNOPPIX」のアイディアがパネルセッションでの雑談で生まれたことです。
今でこそ、USBメモリはとても安価になって、しかも、USBメモリからPCを起動するという発想は常識になっていますが、2004年当時はかなり高価で、USBメモリにOSを格納してそこからPCをブートするという発想はありませんでした。ですが、うちの丸山君の「syslinux」をUSBメモリーからKNOPPIXをブートすることが可能ではないかという発想で作られたKNOPPIX512Mは動作するマザーボードのBIOSメーカーは選ぶものの、実用レベルでUSBメモリーからOSを起動する先駆けになった、とても思い出深いものになりました。
その後、USB-KNOPPIXは256MBバージョンの開発、64MByteバージョンの開発などさまざまなバージョンが開発され、Trubo Linuxが発売した wizpy にもその技術が利用されるなどしましたが、現在ではUSBメモリからのOSの起動は常識的なものになってゆきました。うちの実習室で実証実験を行い、それがCECのOSCプロジェクトの仙台チームで利用された、CFカードをIDE接続しそこからOSを起動する技術の開発など、さまざまな面での展開をすることができました。
そして、現在日本各地で実施されている「オープンソース・カンファレンス」の初回をうちの学校の7号館で行えたことも良い思い出です。
また、今では学校関係のCMSとして広く使われている「NetCommons」の国立情報学研究所の新井先生とも、共同研究を行わせて頂き、NetCommosの研修用に「KNOPPIX for NetCommos」の開発を行い、そして技術移転を行ったことも良い思い出です。実はこの10月の頭に、新車を買ったのが嬉しくて、嫁の父母を誘って草津温泉に行ったのですが、その道すがら軽井沢のそば屋で新井先生ご一行に、偶然お会いしたのには、とても驚きました。

こう書いてみると、単なるLinuxユーザーであった私が、オープンソース・シーンに登場できたのも、KNOPPIXのおかげと言うわけで、今回の須崎さんの「日本OSS貢献者賞」受賞は、ある意味で自分が受賞したことよりも、何倍も嬉しいわけです。

と、同時にうちの卒業生の塚田君が「2010年度日本OSS奨励賞」をしたことも、すごい嬉しい。塚田君のことは、彼が1年の冬に行われた、卒業生の作品発表会で知ったのですが、確か「タイムレコーダー」のプログラムで卒業生に混じって、1年生の塚田君が作品発表をしていたときだと思います。それ以来、彼の活躍は漏れ聞いていたのですが、3年(塚田君がいたのは3年生学科)のときに、ぜひ学会発表をしてもらおうということで、情報処理学会に発表を行い、その予稿、および発表の指導をしたわけです。そのときのテーマが、「KNOPPIXを使ってPHP学習環境を作成する」というものであり、やっぱりKNOPPIXに関連したものであったわけです。

まあ、何にしても、KNOPPIXは僕にとって、忘れ得ぬLinuxのディストリビューションであり、もし私が死んで(多分いずれ死ぬでしょう)墓碑銘が必要になった時には、「USB-KNOPPIX」と彫ってもらおうかと本気で考えていたりする今日この頃です。

実装屋として、OS作りやプロデュースなどは専門外で、自分にとって珠玉のプロダクトは、教育用インタープリタである「algol Alpha」と、「open CASL」なのですが、人生ままならないもので、KNOPPIXでの方が有名になってしまったのも、運命というものなんでしょうね。
しかし、USB-KNOPPIXが始めて起動した時に、体中が血液が沸き立ち逆流したような感覚は、いまでも忘れられない感覚です。

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