2011年3月28日月曜日

原子力発電と放射能

「原子力発電所から、放射線が出てくる」 これって割と当たり前の事なんですけど、これをちゃんと説明してみましょう

特殊相対性理論

アインシュタインが導いた相対論っていうと、時間が短くなったり、重さが重くなったり、それからブラックホールなんてのを思い出す人が多いと思いますが、実は原発から放射能が出てくる説明には欠かせない物になります。相対論は、特殊相対論と一般相対論って2つに分かれますが、原発の原理は特殊相対論の範疇になります。一般相対論は重力に関する理論で、ブラックホールなんかはこっちになりますが、とりあえず原発には関係ありません。

さて、この特殊相対論なんですが、正の重さ(質量 - しつりょう)を持ったものは、どんなにがんばっても光の速度に達することはできないことになっています。

さて、ここで物体にエネルギーを与えて、速度を上げることを考えてみましょう。より具体的には、自動車でエンジンをぶんぶん回すことで、自動車にエネルギーを与えると、自動車の速度が上がってゆくってイメージを持ってもらえると、良いかもしれません。
実際には車の場合、エンジンが作り出すエネルギーと、車の(空気や地面との)摩擦で失われるエネルギーが釣り合うところまでしか、速度を上げることができませんが、摩擦で失われるエネルギーがないとすると、車はどんどん速度を上げてゆきます。

(これ以降、わかりやすくするために、運動エネルギーと運動量をわざと区別しないで説明に使っています)

バイクの場合ですけど、最大で大体0.3Gぐらいで加速するそうです。1G≒9.8m/s2なので、1秒間にだいたい、3m/s、時速にしておおざっぱに言って、1秒あたり10Km/hほど速度が上がってゆきます。
一方、光の速度は、だいたい秒速30,000Km/s なので、一切の抵抗がないところで、1千万秒(およそ115日)ほど(計算間違えがあったらご容赦)、エンジンをふかし続ければ、バイクは光の速度に達しそうです。ですが、残念なことに、計算通りには行きません。光の速度に近づくに従って、同じようにエンジンをふかしても、速度は思ったようには上がってゆきません。エンジンをふかしてエネルギーを与えても、思ったように速度が上がってくれないんですね。
皆さん方は、中学校か、高等学校で、エネルギー保存則ってのを勉強したのを憶えていると思います。光の速度に近い速度で動いている物に対しても、エネルギー保存則は成り立ちます。じゃ、なんで、エネルギーを与え続けているのに、速度が上がらないか・・・。そこが最大の問題になります。

物体の持つエネルギーは、速度が速いほど、また物体の持つ重さ(質量)が大きいほど、大きくなります。ある物体にエネルギーを与え続けエネルギーが増えているのに、速度が上がらないってことは、どう考えたら良いのかというと、単純に「じゃ、重さが重くなってんでね?」と考えると幸せになれます。すなわち「エネルギーを与え続けると重くなる」「エネルギーと重さ(質量)は似たようなもん」って結論が導かれます。これが有名な、

E = mc2 (E:エネルギー、m:質量、c:光速度)

って式の(かなり嘘も含んだ)簡単な説明です。

核分裂

さて、ちょっと回り道をしましたが、原子力に話を戻してゆきましょう。
核分裂というのは、原子核が分裂して2つ以上に分かれることです。で、分裂した破片を集めてきて重さをはかると、元の原子核の重さにはなりません。ちょっぴり軽くなってます。実はこの軽くなった分が、核分裂時に熱エネルギーとして出てゆきます。この軽くなる重さはすげぇすくないのですが、先の「E = mc2」って式に当てはめると、cは光の速度はかなりでかいので、結構なエネルギーが熱として出て行っていることが分かります。この熱エネルギーを利用して発電を行っているのが、原子力発電ということになります。
この核分裂は勝手に起ることもあります。例えば252Cfって言う原子は、ほぉっておいても自分で勝手に核分裂してしまいます。これを自発核分裂と言いますが、核分裂を利用して効率よく熱エネルギーを取り出すには、核分裂をコントロールした方が都合がよろしいわけです。

では、どぉやって核分裂をコントロールするかと言うと、それに都合の良い元素があるんですね。例えば、235U(ウラン235)。こいつは、天然のウランの中で、0.7204%しか存在してませんが、中性子っていう弾丸をぶつけてやると、その中性子が原子核に吸収され、236Uになります。ですが、この236Uはものすごく不安定(前ブログのエントリーでは居心地がわるいって表現しています)なので、92Kr と 141Ba、そして2個の中性子に分裂します。このときに、重さがちょっぴり軽くなって、その分が熱エネルギーとして取り出されるわけです。

ところが、ここで問題が発生します。236Uが分裂してできた92Kr と 141Baも、実はかなり不安定な元素で、これ自身も前ブログのエントリーで説明した、(おもに)β崩壊を何回か繰り返して安定な元素になろうとします。そしてその過程でβ線を放出します。ついでにγ崩壊も起ってγ線もだしちゃいます。

実は、弾丸役の中性子も放射線の1つですし、核分裂後の元素もβ崩壊を繰り返してβ線、γ線を放出する、これが原発から放射線が出てくる理由です。

うーん、明日は出勤なので、今日はこれまでということで。。。暇があったら明日以降も続きを書くかもしれません。

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